ロシアワールドカップの日本代表の形が見えた試合
昨日のパラグアイ戦
仕事終えて後半だけみることができましたが、西野Japanが目指している形がかなり実現できた試合ではなかったでしょうか?
南米のチームに4-2で勝利というのは、かなり希望が持てますし、内容もよかったです。
監督解任劇などもありかつ勝ちがつかない状況で叩かれることの多い日本代表ですが、腐らず多くのトライアルをしている中でようやく光明がみえてきたのではないでしょうか。
自分がサッカーを観戦している時何を見ているのかということを一度考えたことがあり、まとめたのが下記です。
Football Goal chainというのは私の造語で、経営学のVallue chain分析をもじったものですが、要はプロセス分解です。
だいたいチームのカラーがでるのはディフェンスで「いかにボールを奪うのか?」というところと、「どうやって相手を崩すのか?」というところだと思います。
このへんでチームの約束事や共通認識ができている場合は、戦術が機能していると思います。
一例としては往年のイタリア代表の場合だと、カテナチオと呼ばれる堅いディフェンスで自陣でがっちりと人数をかけて連動して守り、相手の人数を呼び込んでボールを奪い、速攻でタテに早いボールで相手陣が整わないうちに、ファンタジスタと呼ばれるような選手が崩して決める、という堅守速攻パターン。
いわば相手を自陣内に呼び込んで「崩し」やすくする戦術です。
※守りに自信がないとできない。
南アのスペイン代表やFCバルセロナの場合だと、プレッシングサッカーで前線、中盤から積極的にプレスをかけて、相手陣の近いところで奪い取り、つねにゴールの近いところでボールを保持することでゴールを奪いやすくまた守りやすくする戦術です。
いわば、整える部分と運ぶ部分を省略してしまう考え方と捉えています。※一瞬で崩す技術とボール保持の技術がないと攻めきれずカウンターをくらうため、うまいチームじゃないと無理
昨日の試合を後半からにはなりますが見たところは下記のような感じ
すごく良かったのは下記3点
・ボールの奪いどころの共通認識ができていた。
・ボールを奪われてはいけないところの共通認識もできていた。
・相手をどのように崩すかのパターンがようやく見えてきた。
奪いどころは前線~中盤ということで、効果的なプレスをかけていました。本田選手がこれまでフォアチェックをが遅れ気味でしたが、今回はメンバー変更が功を奏したと思います。
香川などはゲーゲンプレスでプレッシングには慣れている感じです。
ボールロストが多いということが親善試合のトライアルで言われていて本田がやはり多かったのですが、今回は柴崎選手が正確なパスを的確なタイミングで散らしていて、ボールロストが少なかった印象です。
※パラグアイのプレスが甘いという見方もあるとは思いますが
どのように崩すかということですが、乾、香川、武藤、大迫が相互にチャンスメーカーとストライカーになるような形で上手くスイッチしたりしながら決める形がみえました。
あとは柴崎のポストプレーやFKによる得点の形がみえたら、より得点力はあがると思いました。
この辺はすべて連動性が重要だと思いますが、選手の深いところ(感覚)の相互理解が重要になると思っています。
だいたいワールドカップで強いチームは、同じクラブチーム出身者が多いチームだと思います。同じチームでやっているメンバーだとパスの出しどころ、動きだし、奪いどころなど、お互いのことが理解して動けるからです。
今回連動がうまくいっていたのは、鹿島とセレッソのメンバーが多くいて、感覚値が近かったのではないかと勝手に思っています。
今回のWCでもクラブチーム母体は多く、ブラジル(PSG)、スペイン(バルセロナ、レアル)、ドイツ(バイエルン、ドルトムント)、イングランド(トッテナム)など
香川選手がドルトムントと同じぐらいの輝きを日本代表で放ったのをはじめて観れた気がします。
本田選手はなんやかんやいって日本代表では個としては一番決定力を持っている選手だと思いますが(WCの得点数、パチューカでの活躍などから)、今回の目指すところからは少し合わないのではないかと思いました。
南アWCの逆パターンですね。
(※当時2010年、中村俊輔がはずれて本田が台頭した)
日本代表、期待しています!
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2018FIFAワールドカップ ロシアの出場国戦力比較
先ほどUEFAチャンピオンズリーグ終了。
レアル・マドリードが史上初の3連覇を達成しました。ホント凄すぎです。
ジダン監督の勝負勘、半端ないです。ベイルの交代が功を奏しました。出場3分のオーバーヘッドボレーによる得点には度胆抜かれました。
とはいえクロップ監督率いるリバプールも非常に強かったです。
Sラモスのダーティーなプレーによるサラーの負傷退場、GKカリウスのミスによる失点がなければ、勝てたかも。
そしてマネ(WCで日本とあたるセネガルの選手)、キレッキレでした。
今年2018年はワールドカップイヤー
いよいよ残り1か月をきってます。
イニエスタの神戸加入という衝撃もあり、だんだんサッカー情報がメディアをにぎわせてきてます。きっと今年のワールドカップでも新しいスターが誕生することでしょう。楽しみです。
そしてハリルホジッチ監督の衝撃的な電撃解任と西野ジャパン誕生に、われらが日本代表は緊急発進という感じですが、個人的には変わらず応援してます。(もう応援しないという人もいそうですが)
何か3バックになりそうということで、かなり攻撃的な布陣が予想されています。
グループHの対戦国、コロンビア、ポーランド、セネガルはいずれもワールドクラスのアタッカーがいる攻撃力のあるチームの為、単純な打ち合いは厳しそうな気がするのですが、きっと西野監督には何か勝算があるのだろうと期待してます。
ワールドカップ、事前にある程度情報を持っていないと、個人的にはあまり楽しむことができません。
ということで2018FIFAワールドカップロシアの出場国を独断と偏見によって戦力比較してみました。
予選の成績と、ビッククラブに在籍して活躍している選手がどれぐらいいるかで、戦力をS~Cまでの7段階評価をしています。こうしてみるとアジアのレベルはまだまだという感もありますので、是非この評価を覆す活躍を見せてほしいです。
ちょっとめんどくさい作業でしたが、戦力比較に基づいて勝率を設定して、それぞれのグループリーグにおける勝ち点の期待値を算出しました。
ワールドカップでは番狂わせがつきものですが、だいだい下馬評どおりいかないもの
多くの驚きと感動を期待しております。
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【下記前提条件】
ランク ランクに対しての期待値、目安
S 優勝候補:優勝本命
A+ 優勝対抗馬:優勝本命と戦力的には同等に近いレベル
A 優勝ダークホース:戦力的には優勝狙える
B+ GL突破戦力あり、強豪国ないしは準ずる力あり
B 油断ならないレベル。強豪国に対して番狂わせ起こせるか
C+ 何とか1勝したい。運が良ければGL突破
C WC出場ギリギリレベル。目指せ1勝。全敗避けたい。
勝率計算 勝ち 引き分け 負け
同ランク 30% 40% 30%
1ランク上位 50% 30% 20%
2ランク上位 75% 15% 10%
3ランク上位 87.5% 7.5% 5%
4ランク上位 94% 4% 2%
5ランク上位 97% 2% 1%
【感想】最近話題の本「ティール組織」読みました。
最近話題の「ティール組織」読みました。
書評など出てますね。
読んだ感想の結論としては、とても読みにくい本だけど、とても素晴らしい内容の本でした。
革新的な内容で、人に希望と示唆を与えてくれます。
現代では組織に所属している限り、権力構造の中で皆心が傷ついたりどうにもならないストレスを抱えて働くことも多いですが、ティールでは信頼関係を育みピラミッド階層ではない組織で、個々人が自分の能力や価値観を最大限発揮できる環境を生み出します。
人類が生み出してきた組織モデルを論じるところから始まり、サピエンス全史を思わせるようなオープニングです。
※本をもとに作成
■「ティール組織」の素晴らしいところ
私が考えるこの本の素晴らしいところは下記です。
①一見するとあまりにも楽天的で理想主義、しかし実はVUCAと言われ変化が早く情報革命がおきた現代社会には合理的な内容。
②マネジメントイノベーションの指南書となりうる本。
③とてもハートウォーミングな内容で人がもっと活き活きと働ける可能性を示してくれている。
④リーダーシップ研究の先端を行く本
⑤優れた事例により裏付けされている。
⑥不都合な事実に触れている。
一見するととても理想主義で、青臭い書生論のように聞こえてしまう内容ですが、現代の環境変化を考えた際にはとても合理的と思えます。
現在のVUCAと呼ばれる時代では、経営者が1人で意思決定する難易度がどんどん上がっていると思っています。
テクノロジーや環境変化について感度が高くなくては、変化に対応するのは難しいですし、何より最も情報を持っている顧客接点のあるフロントラインと経営者との間には情報のギャップやタイムラグが介在していて、現代の環境変化スピードに意思決定のスピードが合わなくなっています。
従来の解決策としてはエンパワーメント(権限移譲)や、最近ですとリンダ・ヒル教授が提唱する逆転型ピラミッドによる逆転のリーダーシップとなりますが、ティールの内容はそこから踏み込んだ形となっています。
これまでの組織論の延長というより、非連続の変化だと思いますし、著書の中でも何度かでていたゲイリー・ハメル教授が提唱しているイノベーションの階層構造でいうところの、経営のイノベーション(マネジメントイノベーション)に該当する大きな変化だと思います。
著書で多く取り上げられている事例としては、オランダのビュートゾルフや、欧州のFAVIなどですが、(他、モーニングスター、AESなども多いがすべてが網羅的にでているわけではない)
その事例をみていくと目覚ましい成功と感動的な物語に驚きます。
組織が成功要因と完全に断定はできないものの、このような組織形態が存在しかつ非常に大きな実績を上げたことは無視できません。
一部夢物語のような多少気になる部分はあれど、ティールが成立するための条件としてCEOとオーナーがこのパラダイムを持っていないと不可能など(権力構造上つぶされる)、当たり前だけど言いにくいことにもずばっと言ってくれているところなどはリアリズムがあります。
読み進めながら、「そうだよね。経営ってそうあるべきだよね」と思うこともしばしば。
人って素晴らしいと思えるような物語が展開されます。
■「ティール組織」の読みづらさの理由
「ティール組織」はとても素晴らしい内容だと思いましたが、挫折したという知り合いもいました。
本の分厚さもあるでしょうが、自分自身読みながらかなり読みづらい本だと思いました。
その理由は下記。
①パラダイム(モノの見方、哲学)と組織論と社会論が混在して語られる。
②ティールの定義が中々出てこないで、ファクトの積み上げでティールというものはどういうものかを浮かび上がらせる構成。
③前提知識がないと中々頭に入ってこない。
④コンサルやMBA的な知識があったらあったで、これまでのモノの見方を一度リセットして読み解かなくてはいけない。
⑤抽象的な言葉が多い。
読んでいくとパラダイムの話と、組織の話と、社会の話が最初混在して語られる為、どの話をしているのかかなり注意深く読まなくてはいけなくなります。
そして新しいティールという組織の話を期待して読み続けますが、ティールとは何かということを中々定義してくれません。
ティールであることを、帰納法的に導き出した3つの突破口(ブレイクスルー:そもそもこの言葉のチョイスがよくわからん。。)は出てきますが、結局のところ多くの事例とまとめからティールとはこのような組織だと理解してください、といった構成になっています。
シンプルにまとめてほしいと思っている読者からすると、中々わからないティール組織に苛々しながら読むことになります。
ティールの論点設定はほとんどマッキンゼーの7Sに基づくものと推察されます。著者がマッキンゼー出身の組織コンサルタントで、組織について論じている以上、代表的な組織のFWである7Sが背景にあるのは納得です。
ただ7Sを網羅的に出してくれているというより、ハードSの組織構造、システムとソフトSの共通価値観、組織文化を中心に語る構成です。
経営学の流派からすると、ケイパビリティ派の流れに属します。(戦略は組織に従う派)
ゲイリーハメルや、達成型としてのGEや多元型のサウス・ウエスト航空などが説明なく引き合いに出されています(2社とも特徴的で超有名な企業)が、両社をよく知らない場合は少しピンとこないところもあるのではないでしょうか。
ティール組織の適した組織構造の形態については規模だけでなく、バリューチェーンのの長さも条件にでてたりしてますが、ポーターの戦略論など知らなければバリューチェーンと言われても。。となるような気がします。
※下記の図は本をもとに作成したもの
一方で、そういった前提知識があったらあったで、にわかに受け入れがたい話がいくつも出てくる為、どうしてそのようなことが成り立つのか、背景など推察しながら仮説をたてて読み進めていかなくてはいけません。
すっと入るというより常に頭を使い続ける必要がある本です。
そして何よりワーディングがとても抽象的というか、言葉の定義がかなりあやふやなものが多く、著者が何を言っているのか、事例を丹念にみて汲み取らなくてはいけません。
目次の進化型(ティール)を語る第三章の、小見出しをとってみても「エゴを失う恐れを抑える」「コンパスとしての隠れた正しさ」「人生は、自分の本当の姿を明らかにする旅」「強さの上に人生を築く」「逆境に優雅に対処する」
など、意味がよくわからす経営の研究というより怪しげな自己啓発な本という感じで、ロジックで証明する話よりもなんかポエムじみています。
著者がどのような意味で、具体的に何を意図してこのような言葉を使っているのか、事例から汲み取ろうとすると大変です。
■まとめ
個人的には、この本の内容はとても素晴らしく、是非多くの人に読んでいただきたいです。
心温まる物語もあり、経営って人を幸せにするものだと信じている人は是非読むべき本ではないでしょうか。
ただ大作ですが読むのは大変なので覚悟の程を
(冒頭の書評ではサクサク読めたと言っていましたが、個人的にはすごく時間かかりました)
マニアックなエントリーを最後まで読んでいただいた方に感謝申し上げます。
キングダムについて語りたい
みんな大好き漫画「キングダム」
いまだに何度も読んでるし、ところどころに出てくるエピソードや台詞にちょっとうるうるきたりしてます。
なんというおっさんホイホイな、キラーコンテンツなのでしょうか。
この漫画を最初読んだ時、そんなにヒット作になるとは思っていませんでした。
最初読んだときの感覚は下記の通り
①まず主人公が「李信」ということ
自分の中では李信という若手将軍は、史記を読んでいる感じでは王翦の列伝に出てくる引き立て役としての登場(末路もかなしい)なので、果たして主人公としての魅力がだせるのか?と疑問に思っていました。
②秦の始皇帝を助けるという設定
始皇帝は中国のグランドデザインを創り上げた偉大な人ですが、基本的に悪評高い人です。猜疑心が非常に強そうだし、独裁色が強い人というイメージです。
万里の長城もそうだけど阿房宮とか巨大な大奥みたいなの建てて人民を使役したり、焚書坑儒や、最後は不老不死を追い求めたり、晩年は結構キツイ。
こんなやつを助けていくという話が面白くなるのだろうか?と心配してました。
③王騎のキャラデザインがキモイ&創作キャラで架空歴史感が漂っていた。
王騎とかいう聞いたことのない将軍が伝説の将軍扱いされていて、しかもオカマ言葉、タラコ唇、ありえない鎧きてる。大丈夫か??
(※秦国六大将軍は作り物だと思うけど、白起は超有名。王齕、胡傷、あたりも知ってる。司馬錯、名前聞いたことある。他知らぬ、作った?という感じだった)
出典:キングダム 1巻 王騎登場シーン
読み進めていくと、全て覆されました。
ええ、それはもう見事に。
・信の魅力
天下の大将軍という夢に向かって一直線。誰よりも主人公らしい主人公になっていました。
特に輝きだしたのは、飛信隊という自分の部隊をもってから。
信は、ナチュラルなリーダーシップの塊のような男になっていました。
彼は典型的なカリスマ型リーダーで、エマージェントリーダー(※危機の時のリーダー)でもあります。
とにかく率先して一番危険の高いところに飛び込んでいき、自分の背中で隊員達の心を震わせていくリーダーです。
最初は絶対こんな部隊に所属したくない(命がいくつあっても足りない)と思うのに、読んでいくと飛信隊っていいなと思ってしまいます。
そんな自分はきっと「尾平」。。
出典:キングダム44巻
・キングダム史観と呼んでもよいぐらいの始皇帝観の変化
基本的にこの時代の歴史書「史記」は前漢の時代に書かれたもので、漢王朝を肯定するためには前王朝である「秦」が悪くないといけないのですよね。
だからこれまでの描かれ方としても、秦王朝ってスターウォーズの銀河帝国的なノリで、戦国時代は強大な秦に立ち向かっていく英傑たち(戦国四君や藺相如※一番好き)の物語という感じでした。※あくまで個人的印象です。
秦の始皇帝の若い時代の物語は、これまでフォーカスがあまりあたらなかったのだけど(呂不韋との権力闘争ぐらい)、合従軍が蕞(サイ)という町を攻めた史実などを基に、若き理想に燃える君主像を描き出されていた。
全て史実をベースにしながらも矛盾しない、新しい理想的な君主としての秦王政(始皇帝)が描かれています。
三国志の曹操像が、吉川英治の小説やKOEIの三国志シリーズそして蒼天航路などで、「悪人」から「イノベーター」とか「英雄」に変わったの同じで、きっとキングダムによって始皇帝と秦のイメージは大きく今後変わっていくのではないかと思っています。
出典:キングダム31巻 秦王政が住民を奮い立たせるシーン
・王騎にかっこよ死するわ
最悪のビジュアルをして第一印象キモイから、理想の上司&主人公の天下の大将軍のロールモデルに。
人のかっこよさには、ビジュアルなんて関係ない、と思わせられてしまう王騎の生き様。
その立ち振る舞いに胸キュンする男子が続出しているはず。(キュン死にしそう)
特に作者が最も悩みぬいたという16巻のあたりは圧巻です。
王騎という人は不勉強でしたが、史記に「王騎死す」とだけ記述があるようです。
作者はここから、死んだことが記述されているぐらいだからすごい人だったのだろうと想像して、あの王騎像ができていったようです。想像力すごすぎ。
出典:キングダム16巻
現在のキングダム連載は、趙国との国家の命運をかけた全面戦争に突入しています。
「李牧」と「王翦」という戦国時代を代表する名将の激突。
創作ではなく二人とも歴史的に有名な第一級の将軍です。
そういえば銀英伝の作者田中芳樹さんが中国史に名を残す100名の名将を選んだ「中国名将列伝」なる本を出してますが(上記2名も選ばれています)、きっかけは日本人に李牧があまり知られていない(中国人は誰もが知ってる)と思ったからだったそうな。
キングダムによって、李牧はかなりの有名なキャラになったはず。
主人公の信は、連載では堯雲という創作キャラと現在対峙中ですが、堯雲は藺相如の遺志を継いでいるという、藺相如ファンからすると胸アツな展開。
(※キングダムの描写の中の藺相如は史記にでてくるイメージとはかなりギャップありで微妙ですが)
この先の展開がますます楽しみです。
飲み会でぐだ巻いているようなこと書いてしまいましたが、歴史マニア視点で語りたくなってしましました。
誰か飲みの場でキングダムトークしましょう。
キングダムの言葉を現代を生き抜く武器にしようとしているビジネスパーソンは、Yahoo!アカデミア学長 伊藤羊一さんの
「キングダム 最強のチームと自分をつくる」を読みましょう。
マニアックなエントリーを最後まで読んでいただいた方に感謝申し上げます。
歴史から学ぶということ
2018年、あけましておめでとうございます。
2017年も大変お世話になりました。本年も何卒よろしくお願いいたします。
2017年の年末にかけて、空いている時間を久々に塩野七生の「ローマ人の物語」の読み返しにあてていました。
といってもあの膨大な物語をすべて読んだわけではなく、後半の作品
「迷走する帝国」「最後の努力」「キリストの勝利」「ローマ世界の終焉」
の4作品だけです。
大学時代ローマ史を専攻していましたが、共和政時代の興隆期が専門で、衰退する時代については標準的な世界史の授業レベルの知識しかありませんでした。
昨年とある人から、「なんでキリスト教はあれだけの世界宗教になったのか?」と聞かれ、一応答えはしたのですが、いまいち自分でもしっくりこなかったため、改めて学び直した次第。
一応かなりざっくりとしてますが、ローマ帝国の衰退の構造をフローチャート化したものが下記です。
こんなことをやっていてお前は暇人か!?
といわれそうですが、MBA(経営学修士)をとってから、経営学を学ぶ中で、昔に比べて歴史を学ぶ意味が深くなってきた気がします(昔は好きで読んでいただけでしたが)
※一応年末はかなり仕事してました。。(言い訳)
私が思う歴史を学ぶ意味とは下記3点
①思考のタテ軸(時間軸)
②思考のヨコ軸(空間軸)
③思考の奥行(人間理解)
①のタテ軸とは、自分がどのような時代に生きていて、過去から現在、そしてこれからの未来にかけてどのように推移していくか、見通しをたてられるようにするということです。経営戦略はかならず外部環境の把握からはじまりますが、最終的には少し先の未来の変化に対して、どのようなアクションプランを作るかということになります。
②のヨコ軸とは、自分が世界の中でどのような場所に生きているのか、世界はどのようにつながっているのか、世界ではどのような考え方をしているのか、という世界観の話。自分自身の小さな世界ではなく、他の世界の考えを知り、相対的に自分たちが生きている世界を理解ができるようになることです。
③の奥行は、人間理解。人間の脳の構造がそれほど変わらない以上、やはり歴史に照らし合わせてみると人間は同じことを繰り返しますし、人間性というものは普遍的に変わらないところがあるように思えます。何かアクションを起こした際にどういう反応がくるのか、人間理解が深ければ見通しが立つようになるかと
またときには歴史の中にロールモデルとなるような人物に出会うこともあるかと。
その場合は自分自身の生きる一つの指針になります。
いま自分自身は衰退産業に身を置いている自覚がありますし、また日本の国家全体が人口構成を考えると老いかけているように思えます。
ローマ帝国という一大文明の衰退を読み解きながら、いかに自分たちは現代日本で生きるべきか?を考えた年末でした。
正直歴史はディティールにこそありで、フローチャートは構造化して理解するのには役立ちましたが、やはり細かな人間の動きを追ってこそ歴史は理解ができました。
衰退といってもそれぞれの人間が懸命に危機を乗り越えようとして、結果として起きた流れであり、ローマ末期においてもユリアヌスやスティリコのように歴史の流れを変えかけた「人」がいなかったわけではありませんでした。
歴史を創るのは人であり、自分自身がよりよい未来をつくれる人でありたい、強く思う次第です。
マニアックなエントリーを最後まで読んでいただいた方に感謝申し上げます。
2018年が素晴らしい一年でありますように
日本棋院の財政って本当に厳しい?
囲碁業界を取り巻くマクロ環境は、今後かなり見通しとして厳しくなっていくことは、だいぶ前から言われています。
日本棋院の財政も厳しいと言われ続けていた気がするのですが、実際のところどうなんだろう?と思い、公益法人化されて決算数字が出ているのでちょっとみてみました。
とはいえホームページ上の公益法人用の決算数字ではよくわかりづらいので、一般的な企業のような財務3表になおして推移をみてみました。
キャッシュフロー計算書は私のほうで賃借対照表と財産目録をベースに計算しました。
公表されている数字が粗いため(減価償却費など正確にはわからない)誤差はあるかもしれないですが、傾向はわかるかなと。
よく赤字が続いているとか聞いていたのですが、公益法人には収支相償という制約があるらしく、公益事業に関してはあまり黒字化してはいけないらしい。
したがって一般的な企業のように利益ベースで評価はしづらいです。
ざっくりとキャッシュフローをみる限りは、わりとここ数年の傾向は基本投資とかはあまりしないで営業キャッシュフローから細々あがってくる現金で、負債(もしくは棋士の退職引当金)などを払っていってる感じでしょうか。
2015年度の営業CFが悪化してから、ふたたび借入や投資をしてこの2年ぐらいでまたちょっと傾向が変わっていそうです。
バランスシートをみるとかなり現金保有が多い印象。6億円前後でだいたい推移してますが、よく言えば倒産リスクに備えているということですが、どっちかというと資金活用されていない(投資されていない)印象。
公益法人としての日本棋院の理想的な姿って、自分のイメージだと、稼げる部門では稼いで、そのキャッシュを囲碁普及など受益者負担が取りづらい囲碁のマーケティングに使うのが良いのではないかと思ってます。
資産としてはかなり安定した財政基盤もってる印象を受けます。
少なくともすぐ潰れたりするような状況ではないですね。
ちょっと安心しました。
むしろ今体力があるうちに、きちんと今後100年、200年を見据えた改革ができるかどうかが勝負でしょうか。資金が底をついてからでは何もできなくなりますので
是非頑張ってほしいです。
実際の収益(売上)はどうなっているのかもちょっとみてみます。
規模は一時は45億ぐらいあったと聞いているので、かなり縮小はしているとは思いますが、ここ数年は横ばい傾向でしょうか。※縮小要因はおそらく棋戦スポンサーが下りたとか減額だとかだと予想されます。
補助金や寄付金の占める割合は少なく、圧倒的に事業収益、その次に会費の収益という事業構成みたいですね。
事業収益の中の収益構成は明らかにされていないためわかりませんが、賞金金額から推定すると棋戦運営による収益が一番大きいのだろうと思います。
今後のスポンサーをどう獲得するか?また今のスポンサーを維持できるかが収益面から見たときには一番大きな問題かと思います。(わかりきったことをいっている感ありますが)
ではどうやって今後スポンサーを増やすか?(これは囲碁人口問題にも実は根っこで深くかかわっている問題)は長くなるのでまた別の機会に
AlphaGo Zeroに再び衝撃
AlphaGo Zeroに再び衝撃
GoogleDeepmind社から衝撃的なリリースが再び
http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/18/alphago-zero_a_23248198/
囲碁の人工知能研究には一区切りで、ライフサイエンスなど他分野に注力してるものと思っていたので、新しいバージョンが発表されるとは思ってませんでした。
◆これまでのAlphaGoの進化
AlphaGo Fan (AGF) 2015年アマの欧州王者ファンフェイと打った時の最初のバージョン
AlphaGo LeeSedol(AGL) 2016年 世界トップ選手の李セドルと打った時のバージョン
AlphaGo Master(AGM) 2016年~2017年60連勝して、ランキング1位柯潔と打った時のバージョン
AlphaGo Zero(AGZ) 今回の発表
強さのレベルはDeepmind社が出しているイロレーティング(EloRating)を参照
今回は下記の表のように40日間で今までのAlphaGoを越えた。
◆今回の発表の骨子とは?
簡単にいうとこんな感じ?
・教師データなしの強化学習のみを進めて、これまでのバージョンを越える勝率の人工知能は開発した。
・極めて早い速度で人間はおろか、これまで発表したAlphaGoを越えた
※3日でAGLレベル、21日でAGM、40日で前人未到領域のレーティングに到達している。
・評価関数をこれまでのポリシーネットワークとバリューネットワークを使用するのではなく、統合された一つのネットワークを使用している。
・これまでのロールアウトは使用しない。(すなわちモンテカルロ探索によるランダムシュミレーションしないということ)
・消費電力は最新型AGMと同じく初期バージョンの1/48でかなり効率的
http://news.mynavi.jp/column/tpu/003/
◆ぞっとさせる進化の意味合いとそのスピード
なんか色々まじかよ。。。
としか思えないのですが、どういうアルゴリズムの設計をしているのか、興味があります。説明を受けてもわからない可能性大ですが。。
上記の意味合いを解釈すると、こんな感じでしょうか。。
これまでディープラーニングではこれまでの大量のデータがあってこそ、強力な人工知能を創り出すことができるというように思っていたのですが、その論をちょっと修正して過去のデータがなくてもシュミレーションにより大量のデータを創り出すことができる場合は、可能だということ。
寧ろ下手したら人間の手垢がついていない状況のほうが、より革新的な成果を生むことができる。
しかもそのスピードは極めて早い。※人間よりシュミレーションにより圧倒的に経験量を増やす環境がある場合においてはですが
ちょっとよくわからんのが、これまでの評価関数をどのように統合しているのか?
人間に置き換えるとポリシーネットワークは直感(第1感)でバリューネットワークは大局観。
これが統合されたということであれば、どんな評価関数を創り上げているんでしょうか?
上記の新しい評価関数の評価による決定で、これまでのランダムシュミレーションをなくしているみたいだし、あるいみ非連続変化だと思う。
重要なのはこのアルゴリズムをつくる上で、これまでのAlphaGoのバージョンの経験蓄積があったからできた変化なのか、そうではないのか?
僕は多分前者だとは思うのですが、後者だったりしたらえらいこっちゃとしか言いようがない。人類史に革命を何度起こすつもりですかね。。
これまでのAlphaGoに関する投稿