ジャンプ展にいってきて、経営戦略的にジャンプの凄さを理解した

週刊少年ジャンプが創刊50周年。
8月に六本木ヒルズで開催されている週刊少年ジャンプ展に行ってきました。
※明日10/15まで開催!
https://shonenjump-ten.com/

ジャンプ黄金時代で少年期を過ごした自分にとっては、童心にかえる最高の展示会でした(笑)
「オラ、ワクワクしちまうぞ!」みたいな気持ちでいったのですが、ジャンプ創刊からの歴史を改めて見たときに、とても勉強になったので簡単に自分の備忘もかねて思ったことをメモまで。

 ※写真はコラボハンバーガ

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◆歴史を観たときに、実はとっても戦略的な週刊少年ジャンプ

あんまり認識していなかったのですが、週刊少年ジャンプはマガジンやサンデーに対して後発参入の雑誌とのこと。
漫画雑誌のKBF(顧客が購入する要因)が漫画が面白いこととするならば、漫画雑誌のKSF(成功要因)の一つはオモシロイ漫画家を押さえること。
しかしながら当時の人気漫画家はすべて他誌に押さえられていて、ジャンプで連載してもらうのは難しかったそうです。

そこで週刊少年ジャンプがとった戦略とは、若手漫画家を登用して挑戦・育成の場とすることでした。
創業期の若手の中でジャンプを引っ張ったのが本宮ひろ志さん(「男一匹ガキ大将」)と、永井豪(「ハレンチ学園」)だったみたいです。
お二人とも有名な作品を数多く出していますが、ジャンプで見出された作家だとは知りませんでした。

人気漫画家を押さえ続けるための専属契約制度と、「MBAマーケティング」の事例でも取り上げられているアンケートシステムで常にマーケットリサーチと改善と不人気漫画の排除が行われ、PDCAがかなり早く回される仕組みが作られました。
漫画の「バクマン」ではさらっとしかみていなかったけど、育成して戦うという戦略を考えたら極めて合理的です。
過去の漫画の歴史をみると、かなり漫画のポートフォリオを意識している(バトル、ギャグ、ラブコメなど)のもわかります。
また時代ごとにかなりチャレンジングなとがった漫画を出してきていますが、リーンスタートアップにも通じる考え方のように感じました。
コンテンツビジネスの一つの成功パターンとして学ぶべき事例が多いように思えます。
実際本宮さんのアシスタントから車田正美(聖闘士星矢)、宮下あきら(男塾)、武論尊(北斗の拳)など出てきてこのへんが当初のジャンプ本流になった後、多くの漫画家がジャンプから誕生しました。
今回の展示会は1980年代まででしたので、鳥山明(ドラゴンボール)、北条司(シティハンター)、ゆでたまご(キン肉マン)、高橋陽一(キャプテン翼)など歴史に名を残す漫画家が出てきて、これから黄金時代へというところで終わりました。
次回の展示会が楽しみです。


週刊少年ジャンプは今なお変化し続けている。

外部環境をみたときに出版業界というのは、かなり厳しい環境にあるように思えるのですが、その中でジャンプ施策や取組は目を引きます。
国内の人口減、IT環境が整ってきたことによるチャネルの変化など環境変化が激しいですが、コンテンツビジネスとして取るべき施策を取り続けているように思えます。
週刊少年ジャンプは、雑誌から週刊ジャンプ+というアプリケーションに、コンテンツを出すプラットフォームの比重を重くしていたり、育成という視点から電子空間で発表する場「ジャンプルーキー」や作成支援ツールの「ジャンプペイント」、自社コンテンツから収益性を高めるための数多くのタイアップ施策など必要な施策をとりつづけています。
現代の編集者は、コンテンツプロデューサーというだけでなく、ビジネスプロデューサーでなくてはいけないのだと思わされます。
個人的にはオモシロイ漫画がこれからも出続けることを期待しながら、次なるジャンプの施策も一ファンとして楽しみにしています。