北朝鮮のミサイル問題について思うこと

頭がおかしい指導者(通称ロケットマン)に率いられた北朝鮮というテロリスト国家が存在する。
北朝鮮がミサイルを日本の上空に打ちまくっていて、いつ日本にミサイルが実際に飛んでくるかわからない。
そんな報道が多いように感じるけど、ちょっと違和感を感じてしまいます。

(※Jアラートのニュースが流れていたころに書いた文章なので、多少古いかもしれないですが)


北朝鮮は基本的に合理的な選択を行っている。

北朝鮮の目的は何か?という問いを考えると、「生存すること」と思います。
北朝鮮は自国の生存戦略のために、「核開発」と「ミサイル開発」を行っています。
核は現代世界における最も強力な交渉力を持つカードの一つ。
北朝鮮にも当然言い分はあるわけで、自国の安全保障は自分たちで行うしかなく、自分たちを攻撃すると「核」と「ミサイル」で報復するぞといいたいわけですね。

いじめられっこがいじめられないために脅しの武器を持とうとしてるようなものです。


◆このミサイル問題の当事国は日本ではない。

このミサイル問題の主要な当事国はどこか?となると、国際関係を整理したときには実は日本ではないと思います。

関連国を整理すると下記。

①核開発とミサイル実験を繰り返す北朝鮮
北朝鮮と直接的な国境を接して、最も近い米軍基地が存在して数十年戦争状態にある韓国
北朝鮮に対して最も安全保障を脅かす存在としての米国
北朝鮮の資源や経済など深い関係を築きライフラインとなっている中国
北朝鮮に軍事技術や経済面で支援し、建国以来の関係にあるロシア
⑥米軍基地が存在してミサイル実験の際に破片が落ちる可能性がわずかにある米国の同盟国日本

日本は北朝鮮と戦争状態にある国というより、戦争状態の対象の同盟国ということで、攻撃対象としての優先順位は北朝鮮から見たときは、韓国などに比べると高くはないでしょう。
ただ北朝鮮を攻撃可能な基地が存在するということで、実際に戦争状態になった場合は、日本に存在する基地攻撃をやはり考えることかと思います。

この北朝鮮は20世紀のもっとも強力な覇権国家アメリカ合衆国に対して、最も対抗する大国ソヴィエト連邦との対立によって産み落とされた国家であり、現在はソ連の崩壊とともに孤立化した状態にあります。
この問題の深層はパワーを喪失しつつある覇権国アメリカと、次世代の覇権を取ろうとする中国との力の綱引き上で起きているトラブルなのだろうと思います。

いま日本方面にミサイル実験をどんどんやっているので、いかにも日本が攻撃されているような錯覚を覚えてしまいますが、北朝鮮がミサイル実験をするためには日本方面に行うしかありません(公海がそっちにしかないから)

ミサイルの軌道を地図上でみると北朝鮮は実験を行う上で最大限被害が出ないように配慮しているようにみえます。


◆日本が選択できるオプションは限られている。

このミサイル問題に関しては、日本のできることは正直限られます。

・外交努力
そもそも当事国の度合いが低い日本では、あまり北朝鮮に安全保障を担保するためのキラーカードを持ち合わせていないように思います。
これを主張するコメンテーターは、北朝鮮に対して何を与えて交渉するつもりなんでしょうか。
そもそも攻撃能力を持ち合わせてないわけで、攻撃しないよと保障することもできません。
拉致問題などもあって、ミサイル以外の別の問題解決の突き上げもありますし外交でミサイルや核開発問題を解決するのは困難だと思います。

・敵基地への先制攻撃
このオプションは平和憲法を順守する以上、事実上不可能。
また敵基地攻撃能力は自衛隊の現在の配備ではきついと思われる。(しらんけど、論理的に考えるとそんな能力は今の枠組みでは備えていないでしょう)

・ミサイル迎撃能力の向上
結局これが一番いまのところ現実的ということで、PAC3イージス艦が今後増設されるらしい。
100%撃ち落とすことは、大量に撃ってきた場合は難しいかもしれないけど、まあ妥当な対策かなと思います。

 

◆今後の展望について

基本北朝鮮を攻撃するというオプションは、米中露3国が戦後のことも合わせて合意してからはじめて行われるのではないかなと。米中の閣僚会談がすすんでいるようですし。難民や損害を考えるとやるかどうか知りませんが(というかやりたくないでしょうね)。

安倍首相は今回の北朝鮮のミサイル問題は、衆議院選挙の争点にしているみたいだけど、実際の危機とはそれほど感じていないのではないかなという気がします。むしろ政権にとっては追い風でしょうか?(だからこそ選挙をする)

国際協調や日米同盟の関係から表面上は北朝鮮に圧力をかけながらも、水面下では平和交渉のチャネルを開き続けて、ミサイルの標的にならないよう頑張っていただきたいものです。