囲碁人口減少の構造を理解しよう③(結論)

この話も長くなりましたが、この辺で結論を述べます。

①で明らかにしたのは、囲碁人口減少の主要因は、1950、60年代生まれ以降の世代が囲碁をしなくなっていること。

②でみていただいたのは、囲碁棋戦のビジネスモデルによって、主に新聞を通じて囲碁は社会に認知されているということです。

 

では何故1950、60年代以降の世代が囲碁の参加率が落ちるのか?

それは社会の中で新聞の影響力が低下したこと、そして新しいメディア向けの囲碁のコンテンツがだせなかったこと、がその理由だろうと思っています。

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考えてみると囲碁と新聞は奇跡的なぐらい相性の良いコンテンツなのです。

限られた枠(スペース)で動かない視覚情報のみで何かを伝えようとする場合、棋譜というのは極めて効率のよいコンテンツです。

数字を目で追っていけば、ある程度の熟練者であれば何が起きているかを理解ができます。

一方、音や視覚でも動きが重要となってくると、今までの囲碁の対局は地味すぎます。

何分、へたしたら1時間以上動きがほとんどない対局者の姿をじっとみるなど、コンテンツとして成立しづらいにもほどがあります。

(※対局の中身も理解するには、難易度の高いハードルあります)

 

下記はPEST分析といって、社会の動きを構造化したものですが、1950~1960年代というのは、ラジオ、テレビといった新しいメディアが普及していく時代でもあります。

新聞の影響度が自然と代替メディアの登場によって、薄くなるにしたがって囲碁の認知度も落ちていったと考えるのが妥当ではないかと思います。

1990年ぐらいまでは経済的に活況の時代でもありましたし、まだ囲碁をやっている人の母数はそこまで減ってはいませんでしたが、時代を経てプレーヤーの多数が高齢化、および不況により棋戦スポンサーの存続が危惧されるようになって、問題が顕在化してきているのが今ということになるかと思います。

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世界戦で日本が勝てなくなったから、囲碁ファンも減ったみたいな論調を聞いたことがあるのですが、それは因果関係を多少取り違えているかと思います。

※もちろん勝ってくれた方が盛り上がりますし、メディアに取り上げていただく可能性も高くなりますが、だからといって根本的な解決になるということではありません。

 

その意味で課題先進国といわれる日本の中でも囲碁の世界は

・高齢化(より厳しい人口構成)

・ライフサイクルの衰退期に入った経済成長の鈍化

・AIの脅威/機会

みたいな課題にさらされていて、一番課題に直面している業界であることも認識しておいた方が良いかと思います。

一方でここで変革ができた場合は日本の成長モデルを示すことにもつながりますし、

厳しい現状ですが構造を理解することが打ち手を模索する上での第一歩かなとも思います。

※ある程度何をすべきかは自ずと明らかになるかと

 

マニアックなエントリーを最後まで読んでいただいた方に感謝申し上げます。

過去エントリー①

umeyan.hatenablog.com

過去エントリー②

umeyan.hatenablog.com