日本棋院の財政って本当に厳しい?

囲碁業界を取り巻くマクロ環境は、今後かなり見通しとして厳しくなっていくことは、だいぶ前から言われています。

日本棋院の財政も厳しいと言われ続けていた気がするのですが、実際のところどうなんだろう?と思い、公益法人化されて決算数字が出ているのでちょっとみてみました。

とはいえホームページ上の公益法人用の決算数字ではよくわかりづらいので、一般的な企業のような財務3表になおして推移をみてみました。

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キャッシュフロー計算書は私のほうで賃借対照表と財産目録をベースに計算しました。

公表されている数字が粗いため(減価償却費など正確にはわからない)誤差はあるかもしれないですが、傾向はわかるかなと。

よく赤字が続いているとか聞いていたのですが、公益法人には収支相償という制約があるらしく、公益事業に関してはあまり黒字化してはいけないらしい。

したがって一般的な企業のように利益ベースで評価はしづらいです。

ざっくりとキャッシュフローをみる限りは、わりとここ数年の傾向は基本投資とかはあまりしないで営業キャッシュフローから細々あがってくる現金で、負債(もしくは棋士の退職引当金)などを払っていってる感じでしょうか。

2015年度の営業CFが悪化してから、ふたたび借入や投資をしてこの2年ぐらいでまたちょっと傾向が変わっていそうです。

バランスシートをみるとかなり現金保有が多い印象。6億円前後でだいたい推移してますが、よく言えば倒産リスクに備えているということですが、どっちかというと資金活用されていない(投資されていない)印象。

公益法人としての日本棋院の理想的な姿って、自分のイメージだと、稼げる部門では稼いで、そのキャッシュを囲碁普及など受益者負担が取りづらい囲碁マーケティングに使うのが良いのではないかと思ってます。

資産としてはかなり安定した財政基盤もってる印象を受けます。

少なくともすぐ潰れたりするような状況ではないですね。

ちょっと安心しました。

むしろ今体力があるうちに、きちんと今後100年、200年を見据えた改革ができるかどうかが勝負でしょうか。資金が底をついてからでは何もできなくなりますので

是非頑張ってほしいです。

 

実際の収益(売上)はどうなっているのかもちょっとみてみます。

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規模は一時は45億ぐらいあったと聞いているので、かなり縮小はしているとは思いますが、ここ数年は横ばい傾向でしょうか。※縮小要因はおそらく棋戦スポンサーが下りたとか減額だとかだと予想されます。

補助金や寄付金の占める割合は少なく、圧倒的に事業収益、その次に会費の収益という事業構成みたいですね。

事業収益の中の収益構成は明らかにされていないためわかりませんが、賞金金額から推定すると棋戦運営による収益が一番大きいのだろうと思います。

今後のスポンサーをどう獲得するか?また今のスポンサーを維持できるかが収益面から見たときには一番大きな問題かと思います。(わかりきったことをいっている感ありますが)

ではどうやって今後スポンサーを増やすか?(これは囲碁人口問題にも実は根っこで深くかかわっている問題)は長くなるのでまた別の機会に