【感想】最近話題の本「ティール組織」読みました。

最近話題の「ティール組織」読みました。

書評など出てますね。

eliesbook.co.jp

 


読んだ感想の結論としては、とても読みにくい本だけど、とても素晴らしい内容の本でした。
革新的な内容で、人に希望と示唆を与えてくれます。

現代では組織に所属している限り、権力構造の中で皆心が傷ついたりどうにもならないストレスを抱えて働くことも多いですが、ティールでは信頼関係を育みピラミッド階層ではない組織で、個々人が自分の能力や価値観を最大限発揮できる環境を生み出します。
人類が生み出してきた組織モデルを論じるところから始まり、サピエンス全史を思わせるようなオープニングです。

※本をもとに作成

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■「ティール組織」の素晴らしいところ
私が考えるこの本の素晴らしいところは下記です。

①一見するとあまりにも楽天的で理想主義、しかし実はVUCAと言われ変化が早く情報革命がおきた現代社会には合理的な内容。
②マネジメントイノベーションの指南書となりうる本。
③とてもハートウォーミングな内容で人がもっと活き活きと働ける可能性を示してくれている。
④リーダーシップ研究の先端を行く本
⑤優れた事例により裏付けされている。
⑥不都合な事実に触れている。


一見するととても理想主義で、青臭い書生論のように聞こえてしまう内容ですが、現代の環境変化を考えた際にはとても合理的と思えます。
現在のVUCAと呼ばれる時代では、経営者が1人で意思決定する難易度がどんどん上がっていると思っています。
テクノロジーや環境変化について感度が高くなくては、変化に対応するのは難しいですし、何より最も情報を持っている顧客接点のあるフロントラインと経営者との間には情報のギャップやタイムラグが介在していて、現代の環境変化スピードに意思決定のスピードが合わなくなっています。
従来の解決策としてはエンパワーメント(権限移譲)や、最近ですとリンダ・ヒル教授が提唱する逆転型ピラミッドによる逆転のリーダーシップとなりますが、ティールの内容はそこから踏み込んだ形となっています。
これまでの組織論の延長というより、非連続の変化だと思いますし、著書の中でも何度かでていたゲイリー・ハメル教授が提唱しているイノベーションの階層構造でいうところの、経営のイノベーション(マネジメントイノベーション)に該当する大きな変化だと思います。
著書で多く取り上げられている事例としては、オランダのビュートゾルフや、欧州のFAVIなどですが、(他、モーニングスター、AESなども多いがすべてが網羅的にでているわけではない)
その事例をみていくと目覚ましい成功と感動的な物語に驚きます。
組織が成功要因と完全に断定はできないものの、このような組織形態が存在しかつ非常に大きな実績を上げたことは無視できません。
一部夢物語のような多少気になる部分はあれど、ティールが成立するための条件としてCEOとオーナーがこのパラダイムを持っていないと不可能など(権力構造上つぶされる)、当たり前だけど言いにくいことにもずばっと言ってくれているところなどはリアリズムがあります。

読み進めながら、「そうだよね。経営ってそうあるべきだよね」と思うこともしばしば。

人って素晴らしいと思えるような物語が展開されます。

 

■「ティール組織」の読みづらさの理由

「ティール組織」はとても素晴らしい内容だと思いましたが、挫折したという知り合いもいました。
本の分厚さもあるでしょうが、自分自身読みながらかなり読みづらい本だと思いました。
その理由は下記。

パラダイム(モノの見方、哲学)と組織論と社会論が混在して語られる。
②ティールの定義が中々出てこないで、ファクトの積み上げでティールというものはどういうものかを浮かび上がらせる構成。
③前提知識がないと中々頭に入ってこない。
④コンサルやMBA的な知識があったらあったで、これまでのモノの見方を一度リセットして読み解かなくてはいけない。
⑤抽象的な言葉が多い。

読んでいくとパラダイムの話と、組織の話と、社会の話が最初混在して語られる為、どの話をしているのかかなり注意深く読まなくてはいけなくなります。
そして新しいティールという組織の話を期待して読み続けますが、ティールとは何かということを中々定義してくれません。
ティールであることを、帰納法的に導き出した3つの突破口(ブレイクスルー:そもそもこの言葉のチョイスがよくわからん。。)は出てきますが、結局のところ多くの事例とまとめからティールとはこのような組織だと理解してください、といった構成になっています。
シンプルにまとめてほしいと思っている読者からすると、中々わからないティール組織に苛々しながら読むことになります。
ティールの論点設定はほとんどマッキンゼーの7Sに基づくものと推察されます。著者がマッキンゼー出身の組織コンサルタントで、組織について論じている以上、代表的な組織のFWである7Sが背景にあるのは納得です。
ただ7Sを網羅的に出してくれているというより、ハードSの組織構造、システムとソフトSの共通価値観、組織文化を中心に語る構成です。
経営学の流派からすると、ケイパビリティ派の流れに属します。(戦略は組織に従う派)
ゲイリーハメルや、達成型としてのGEや多元型のサウス・ウエスト航空などが説明なく引き合いに出されています(2社とも特徴的で超有名な企業)が、両社をよく知らない場合は少しピンとこないところもあるのではないでしょうか。
ティール組織の適した組織構造の形態については規模だけでなく、バリューチェーンのの長さも条件にでてたりしてますが、ポーターの戦略論など知らなければバリューチェーンと言われても。。となるような気がします。

※下記の図は本をもとに作成したもの

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一方で、そういった前提知識があったらあったで、にわかに受け入れがたい話がいくつも出てくる為、どうしてそのようなことが成り立つのか、背景など推察しながら仮説をたてて読み進めていかなくてはいけません。
すっと入るというより常に頭を使い続ける必要がある本です。
そして何よりワーディングがとても抽象的というか、言葉の定義がかなりあやふやなものが多く、著者が何を言っているのか、事例を丹念にみて汲み取らなくてはいけません。
目次の進化型(ティール)を語る第三章の、小見出しをとってみても「エゴを失う恐れを抑える」「コンパスとしての隠れた正しさ」「人生は、自分の本当の姿を明らかにする旅」「強さの上に人生を築く」「逆境に優雅に対処する」
など、意味がよくわからす経営の研究というより怪しげな自己啓発な本という感じで、ロジックで証明する話よりもなんかポエムじみています。
著者がどのような意味で、具体的に何を意図してこのような言葉を使っているのか、事例から汲み取ろうとすると大変です。

 

■まとめ

個人的には、この本の内容はとても素晴らしく、是非多くの人に読んでいただきたいです。

心温まる物語もあり、経営って人を幸せにするものだと信じている人は是非読むべき本ではないでしょうか。

ただ大作ですが読むのは大変なので覚悟の程を

(冒頭の書評ではサクサク読めたと言っていましたが、個人的にはすごく時間かかりました)

 

マニアックなエントリーを最後まで読んでいただいた方に感謝申し上げます。

 

キングダムについて語りたい

みんな大好き漫画「キングダム」
いまだに何度も読んでるし、ところどころに出てくるエピソードや台詞にちょっとうるうるきたりしてます。
なんというおっさんホイホイな、キラーコンテンツなのでしょうか。

この漫画を最初読んだ時、そんなにヒット作になるとは思っていませんでした。
最初読んだときの感覚は下記の通り

①まず主人公が「李信」ということ
自分の中では李信という若手将軍は、史記を読んでいる感じでは王翦の列伝に出てくる引き立て役としての登場(末路もかなしい)なので、果たして主人公としての魅力がだせるのか?と疑問に思っていました。

②秦の始皇帝を助けるという設定
始皇帝は中国のグランドデザインを創り上げた偉大な人ですが、基本的に悪評高い人です。猜疑心が非常に強そうだし、独裁色が強い人というイメージです。
万里の長城もそうだけど阿房宮とか巨大な大奥みたいなの建てて人民を使役したり、焚書坑儒や、最後は不老不死を追い求めたり、晩年は結構キツイ。
こんなやつを助けていくという話が面白くなるのだろうか?と心配してました。

③王騎のキャラデザインがキモイ&創作キャラで架空歴史感が漂っていた。
王騎とかいう聞いたことのない将軍が伝説の将軍扱いされていて、しかもオカマ言葉、タラコ唇、ありえない鎧きてる。大丈夫か??
(※秦国六大将軍は作り物だと思うけど、白起は超有名。王齕、胡傷、あたりも知ってる。司馬錯、名前聞いたことある。他知らぬ、作った?という感じだった)

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出典:キングダム 1巻   王騎登場シーン


読み進めていくと、全て覆されました。

ええ、それはもう見事に。


・信の魅力
天下の大将軍という夢に向かって一直線。誰よりも主人公らしい主人公になっていました。
特に輝きだしたのは、飛信隊という自分の部隊をもってから。
信は、ナチュラルなリーダーシップの塊のような男になっていました。
彼は典型的なカリスマ型リーダーで、エマージェントリーダー(※危機の時のリーダー)でもあります。
とにかく率先して一番危険の高いところに飛び込んでいき、自分の背中で隊員達の心を震わせていくリーダーです。
最初は絶対こんな部隊に所属したくない(命がいくつあっても足りない)と思うのに、読んでいくと飛信隊っていいなと思ってしまいます。
そんな自分はきっと「尾平」。。

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出典:キングダム44巻

 

・キングダム史観と呼んでもよいぐらいの始皇帝観の変化
基本的にこの時代の歴史書「史記」は前漢の時代に書かれたもので、漢王朝を肯定するためには前王朝である「秦」が悪くないといけないのですよね。
だからこれまでの描かれ方としても、秦王朝ってスターウォーズ銀河帝国的なノリで、戦国時代は強大な秦に立ち向かっていく英傑たち(戦国四君や藺相如※一番好き)の物語という感じでした。※あくまで個人的印象です。
秦の始皇帝の若い時代の物語は、これまでフォーカスがあまりあたらなかったのだけど(呂不韋との権力闘争ぐらい)、合従軍が蕞(サイ)という町を攻めた史実などを基に、若き理想に燃える君主像を描き出されていた。
全て史実をベースにしながらも矛盾しない、新しい理想的な君主としての秦王政(始皇帝)が描かれています。
三国志曹操像が、吉川英治の小説やKOEIの三国志シリーズそして蒼天航路などで、「悪人」から「イノベーター」とか「英雄」に変わったの同じで、きっとキングダムによって始皇帝と秦のイメージは大きく今後変わっていくのではないかと思っています。

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出典:キングダム31巻 秦王政が住民を奮い立たせるシーン

 

・王騎にかっこよ死するわ
最悪のビジュアルをして第一印象キモイから、理想の上司&主人公の天下の大将軍のロールモデルに。
人のかっこよさには、ビジュアルなんて関係ない、と思わせられてしまう王騎の生き様。
その立ち振る舞いに胸キュンする男子が続出しているはず。(キュン死にしそう)
特に作者が最も悩みぬいたという16巻のあたりは圧巻です。
王騎という人は不勉強でしたが、史記に「王騎死す」とだけ記述があるようです。
作者はここから、死んだことが記述されているぐらいだからすごい人だったのだろうと想像して、あの王騎像ができていったようです。想像力すごすぎ。

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出典:キングダム16巻


現在のキングダム連載は、趙国との国家の命運をかけた全面戦争に突入しています。
「李牧」と「王翦」という戦国時代を代表する名将の激突。
創作ではなく二人とも歴史的に有名な第一級の将軍です。
そういえば銀英伝の作者田中芳樹さんが中国史に名を残す100名の名将を選んだ「中国名将列伝」なる本を出してますが(上記2名も選ばれています)、きっかけは日本人に李牧があまり知られていない(中国人は誰もが知ってる)と思ったからだったそうな。
キングダムによって、李牧はかなりの有名なキャラになったはず。
主人公の信は、連載では堯雲という創作キャラと現在対峙中ですが、堯雲は藺相如の遺志を継いでいるという、藺相如ファンからすると胸アツな展開。
(※キングダムの描写の中の藺相如は史記にでてくるイメージとはかなりギャップありで微妙ですが)
この先の展開がますます楽しみです。


飲み会でぐだ巻いているようなこと書いてしまいましたが、歴史マニア視点で語りたくなってしましました。
誰か飲みの場でキングダムトークしましょう。

キングダムの言葉を現代を生き抜く武器にしようとしているビジネスパーソンは、Yahoo!アカデミア学長 伊藤羊一さんの
「キングダム 最強のチームと自分をつくる」を読みましょう。

http://amzn.asia/a78NN4W

 

マニアックなエントリーを最後まで読んでいただいた方に感謝申し上げます。

歴史から学ぶということ

2018年、あけましておめでとうございます。

2017年も大変お世話になりました。本年も何卒よろしくお願いいたします。

 

2017年の年末にかけて、空いている時間を久々に塩野七生の「ローマ人の物語」の読み返しにあてていました。

といってもあの膨大な物語をすべて読んだわけではなく、後半の作品

「迷走する帝国」「最後の努力」「キリストの勝利」「ローマ世界の終焉」

の4作品だけです。

大学時代ローマ史を専攻していましたが、共和政時代の興隆期が専門で、衰退する時代については標準的な世界史の授業レベルの知識しかありませんでした。

昨年とある人から、「なんでキリスト教はあれだけの世界宗教になったのか?」と聞かれ、一応答えはしたのですが、いまいち自分でもしっくりこなかったため、改めて学び直した次第。

一応かなりざっくりとしてますが、ローマ帝国の衰退の構造をフローチャート化したものが下記です。

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こんなことをやっていてお前は暇人か!?

といわれそうですが、MBA(経営学修士)をとってから、経営学を学ぶ中で、昔に比べて歴史を学ぶ意味が深くなってきた気がします(昔は好きで読んでいただけでしたが)

※一応年末はかなり仕事してました。。(言い訳)

 

私が思う歴史を学ぶ意味とは下記3点

①思考のタテ軸(時間軸)

②思考のヨコ軸(空間軸)

③思考の奥行(人間理解)

 

①のタテ軸とは、自分がどのような時代に生きていて、過去から現在、そしてこれからの未来にかけてどのように推移していくか、見通しをたてられるようにするということです。経営戦略はかならず外部環境の把握からはじまりますが、最終的には少し先の未来の変化に対して、どのようなアクションプランを作るかということになります。

②のヨコ軸とは、自分が世界の中でどのような場所に生きているのか、世界はどのようにつながっているのか、世界ではどのような考え方をしているのか、という世界観の話。自分自身の小さな世界ではなく、他の世界の考えを知り、相対的に自分たちが生きている世界を理解ができるようになることです。

③の奥行は、人間理解。人間の脳の構造がそれほど変わらない以上、やはり歴史に照らし合わせてみると人間は同じことを繰り返しますし、人間性というものは普遍的に変わらないところがあるように思えます。何かアクションを起こした際にどういう反応がくるのか、人間理解が深ければ見通しが立つようになるかと

またときには歴史の中にロールモデルとなるような人物に出会うこともあるかと。

その場合は自分自身の生きる一つの指針になります。

 

いま自分自身は衰退産業に身を置いている自覚がありますし、また日本の国家全体が人口構成を考えると老いかけているように思えます。

ローマ帝国という一大文明の衰退を読み解きながら、いかに自分たちは現代日本で生きるべきか?を考えた年末でした。

正直歴史はディティールにこそありで、フローチャートは構造化して理解するのには役立ちましたが、やはり細かな人間の動きを追ってこそ歴史は理解ができました。

衰退といってもそれぞれの人間が懸命に危機を乗り越えようとして、結果として起きた流れであり、ローマ末期においてもユリアヌスやスティリコのように歴史の流れを変えかけた「人」がいなかったわけではありませんでした。

歴史を創るのは人であり、自分自身がよりよい未来をつくれる人でありたい、強く思う次第です。

 

マニアックなエントリーを最後まで読んでいただいた方に感謝申し上げます。

2018年が素晴らしい一年でありますように

日本棋院の財政って本当に厳しい?

囲碁業界を取り巻くマクロ環境は、今後かなり見通しとして厳しくなっていくことは、だいぶ前から言われています。

日本棋院の財政も厳しいと言われ続けていた気がするのですが、実際のところどうなんだろう?と思い、公益法人化されて決算数字が出ているのでちょっとみてみました。

とはいえホームページ上の公益法人用の決算数字ではよくわかりづらいので、一般的な企業のような財務3表になおして推移をみてみました。

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キャッシュフロー計算書は私のほうで賃借対照表と財産目録をベースに計算しました。

公表されている数字が粗いため(減価償却費など正確にはわからない)誤差はあるかもしれないですが、傾向はわかるかなと。

よく赤字が続いているとか聞いていたのですが、公益法人には収支相償という制約があるらしく、公益事業に関してはあまり黒字化してはいけないらしい。

したがって一般的な企業のように利益ベースで評価はしづらいです。

ざっくりとキャッシュフローをみる限りは、わりとここ数年の傾向は基本投資とかはあまりしないで営業キャッシュフローから細々あがってくる現金で、負債(もしくは棋士の退職引当金)などを払っていってる感じでしょうか。

2015年度の営業CFが悪化してから、ふたたび借入や投資をしてこの2年ぐらいでまたちょっと傾向が変わっていそうです。

バランスシートをみるとかなり現金保有が多い印象。6億円前後でだいたい推移してますが、よく言えば倒産リスクに備えているということですが、どっちかというと資金活用されていない(投資されていない)印象。

公益法人としての日本棋院の理想的な姿って、自分のイメージだと、稼げる部門では稼いで、そのキャッシュを囲碁普及など受益者負担が取りづらい囲碁マーケティングに使うのが良いのではないかと思ってます。

資産としてはかなり安定した財政基盤もってる印象を受けます。

少なくともすぐ潰れたりするような状況ではないですね。

ちょっと安心しました。

むしろ今体力があるうちに、きちんと今後100年、200年を見据えた改革ができるかどうかが勝負でしょうか。資金が底をついてからでは何もできなくなりますので

是非頑張ってほしいです。

 

実際の収益(売上)はどうなっているのかもちょっとみてみます。

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規模は一時は45億ぐらいあったと聞いているので、かなり縮小はしているとは思いますが、ここ数年は横ばい傾向でしょうか。※縮小要因はおそらく棋戦スポンサーが下りたとか減額だとかだと予想されます。

補助金や寄付金の占める割合は少なく、圧倒的に事業収益、その次に会費の収益という事業構成みたいですね。

事業収益の中の収益構成は明らかにされていないためわかりませんが、賞金金額から推定すると棋戦運営による収益が一番大きいのだろうと思います。

今後のスポンサーをどう獲得するか?また今のスポンサーを維持できるかが収益面から見たときには一番大きな問題かと思います。(わかりきったことをいっている感ありますが)

ではどうやって今後スポンサーを増やすか?(これは囲碁人口問題にも実は根っこで深くかかわっている問題)は長くなるのでまた別の機会に

AlphaGo Zeroに再び衝撃

AlphaGo Zeroに再び衝撃

GoogleDeepmind社から衝撃的なリリースが再び
http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/18/alphago-zero_a_23248198/

deepmind.com

囲碁人工知能研究には一区切りで、ライフサイエンスなど他分野に注力してるものと思っていたので、新しいバージョンが発表されるとは思ってませんでした。


◆これまでのAlphaGoの進化

AlphaGo Fan (AGF) 2015年アマの欧州王者ファンフェイと打った時の最初のバージョン
AlphaGo LeeSedol(AGL) 2016年 世界トップ選手の李セドルと打った時のバージョン
AlphaGo Master(AGM) 2016年~2017年60連勝して、ランキング1位柯潔と打った時のバージョン
AlphaGo Zero(AGZ) 今回の発表

強さのレベルはDeepmind社が出しているイロレーティング(EloRating)を参照

今回は下記の表のように40日間で今までのAlphaGoを越えた。

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◆今回の発表の骨子とは?

簡単にいうとこんな感じ?

・教師データなしの強化学習のみを進めて、これまでのバージョンを越える勝率の人工知能は開発した。
・極めて早い速度で人間はおろか、これまで発表したAlphaGoを越えた
※3日でAGLレベル、21日でAGM、40日で前人未到領域のレーティングに到達している。
・評価関数をこれまでのポリシーネットワークとバリューネットワークを使用するのではなく、統合された一つのネットワークを使用している。
・これまでのロールアウトは使用しない。(すなわちモンテカルロ探索によるランダムシュミレーションしないということ)
・消費電力は最新型AGMと同じく初期バージョンの1/48でかなり効率的
http://news.mynavi.jp/column/tpu/003/


◆ぞっとさせる進化の意味合いとそのスピード

なんか色々まじかよ。。。
としか思えないのですが、どういうアルゴリズムの設計をしているのか、興味があります。説明を受けてもわからない可能性大ですが。。

上記の意味合いを解釈すると、こんな感じでしょうか。。
これまでディープラーニングではこれまでの大量のデータがあってこそ、強力な人工知能を創り出すことができるというように思っていたのですが、その論をちょっと修正して過去のデータがなくてもシュミレーションにより大量のデータを創り出すことができる場合は、可能だということ。
寧ろ下手したら人間の手垢がついていない状況のほうが、より革新的な成果を生むことができる。
しかもそのスピードは極めて早い。※人間よりシュミレーションにより圧倒的に経験量を増やす環境がある場合においてはですが

ちょっとよくわからんのが、これまでの評価関数をどのように統合しているのか?
人間に置き換えるとポリシーネットワークは直感(第1感)でバリューネットワークは大局観。
これが統合されたということであれば、どんな評価関数を創り上げているんでしょうか?
上記の新しい評価関数の評価による決定で、これまでのランダムシュミレーションをなくしているみたいだし、あるいみ非連続変化だと思う。
重要なのはこのアルゴリズムをつくる上で、これまでのAlphaGoのバージョンの経験蓄積があったからできた変化なのか、そうではないのか?
僕は多分前者だとは思うのですが、後者だったりしたらえらいこっちゃとしか言いようがない。人類史に革命を何度起こすつもりですかね。。

 

これまでのAlphaGoに関する投稿

umeyan.hatenablog.com

 

umeyan.hatenablog.com

umeyan.hatenablog.com

 

ジャンプ展にいってきて、経営戦略的にジャンプの凄さを理解した

週刊少年ジャンプが創刊50周年。
8月に六本木ヒルズで開催されている週刊少年ジャンプ展に行ってきました。
※明日10/15まで開催!
https://shonenjump-ten.com/

ジャンプ黄金時代で少年期を過ごした自分にとっては、童心にかえる最高の展示会でした(笑)
「オラ、ワクワクしちまうぞ!」みたいな気持ちでいったのですが、ジャンプ創刊からの歴史を改めて見たときに、とても勉強になったので簡単に自分の備忘もかねて思ったことをメモまで。

 ※写真はコラボハンバーガ

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◆歴史を観たときに、実はとっても戦略的な週刊少年ジャンプ

あんまり認識していなかったのですが、週刊少年ジャンプはマガジンやサンデーに対して後発参入の雑誌とのこと。
漫画雑誌のKBF(顧客が購入する要因)が漫画が面白いこととするならば、漫画雑誌のKSF(成功要因)の一つはオモシロイ漫画家を押さえること。
しかしながら当時の人気漫画家はすべて他誌に押さえられていて、ジャンプで連載してもらうのは難しかったそうです。

そこで週刊少年ジャンプがとった戦略とは、若手漫画家を登用して挑戦・育成の場とすることでした。
創業期の若手の中でジャンプを引っ張ったのが本宮ひろ志さん(「男一匹ガキ大将」)と、永井豪(「ハレンチ学園」)だったみたいです。
お二人とも有名な作品を数多く出していますが、ジャンプで見出された作家だとは知りませんでした。

人気漫画家を押さえ続けるための専属契約制度と、「MBAマーケティング」の事例でも取り上げられているアンケートシステムで常にマーケットリサーチと改善と不人気漫画の排除が行われ、PDCAがかなり早く回される仕組みが作られました。
漫画の「バクマン」ではさらっとしかみていなかったけど、育成して戦うという戦略を考えたら極めて合理的です。
過去の漫画の歴史をみると、かなり漫画のポートフォリオを意識している(バトル、ギャグ、ラブコメなど)のもわかります。
また時代ごとにかなりチャレンジングなとがった漫画を出してきていますが、リーンスタートアップにも通じる考え方のように感じました。
コンテンツビジネスの一つの成功パターンとして学ぶべき事例が多いように思えます。
実際本宮さんのアシスタントから車田正美(聖闘士星矢)、宮下あきら(男塾)、武論尊(北斗の拳)など出てきてこのへんが当初のジャンプ本流になった後、多くの漫画家がジャンプから誕生しました。
今回の展示会は1980年代まででしたので、鳥山明(ドラゴンボール)、北条司(シティハンター)、ゆでたまご(キン肉マン)、高橋陽一(キャプテン翼)など歴史に名を残す漫画家が出てきて、これから黄金時代へというところで終わりました。
次回の展示会が楽しみです。


週刊少年ジャンプは今なお変化し続けている。

外部環境をみたときに出版業界というのは、かなり厳しい環境にあるように思えるのですが、その中でジャンプ施策や取組は目を引きます。
国内の人口減、IT環境が整ってきたことによるチャネルの変化など環境変化が激しいですが、コンテンツビジネスとして取るべき施策を取り続けているように思えます。
週刊少年ジャンプは、雑誌から週刊ジャンプ+というアプリケーションに、コンテンツを出すプラットフォームの比重を重くしていたり、育成という視点から電子空間で発表する場「ジャンプルーキー」や作成支援ツールの「ジャンプペイント」、自社コンテンツから収益性を高めるための数多くのタイアップ施策など必要な施策をとりつづけています。
現代の編集者は、コンテンツプロデューサーというだけでなく、ビジネスプロデューサーでなくてはいけないのだと思わされます。
個人的にはオモシロイ漫画がこれからも出続けることを期待しながら、次なるジャンプの施策も一ファンとして楽しみにしています。

北朝鮮のミサイル問題について思うこと

頭がおかしい指導者(通称ロケットマン)に率いられた北朝鮮というテロリスト国家が存在する。
北朝鮮がミサイルを日本の上空に打ちまくっていて、いつ日本にミサイルが実際に飛んでくるかわからない。
そんな報道が多いように感じるけど、ちょっと違和感を感じてしまいます。

(※Jアラートのニュースが流れていたころに書いた文章なので、多少古いかもしれないですが)


北朝鮮は基本的に合理的な選択を行っている。

北朝鮮の目的は何か?という問いを考えると、「生存すること」と思います。
北朝鮮は自国の生存戦略のために、「核開発」と「ミサイル開発」を行っています。
核は現代世界における最も強力な交渉力を持つカードの一つ。
北朝鮮にも当然言い分はあるわけで、自国の安全保障は自分たちで行うしかなく、自分たちを攻撃すると「核」と「ミサイル」で報復するぞといいたいわけですね。

いじめられっこがいじめられないために脅しの武器を持とうとしてるようなものです。


◆このミサイル問題の当事国は日本ではない。

このミサイル問題の主要な当事国はどこか?となると、国際関係を整理したときには実は日本ではないと思います。

関連国を整理すると下記。

①核開発とミサイル実験を繰り返す北朝鮮
北朝鮮と直接的な国境を接して、最も近い米軍基地が存在して数十年戦争状態にある韓国
北朝鮮に対して最も安全保障を脅かす存在としての米国
北朝鮮の資源や経済など深い関係を築きライフラインとなっている中国
北朝鮮に軍事技術や経済面で支援し、建国以来の関係にあるロシア
⑥米軍基地が存在してミサイル実験の際に破片が落ちる可能性がわずかにある米国の同盟国日本

日本は北朝鮮と戦争状態にある国というより、戦争状態の対象の同盟国ということで、攻撃対象としての優先順位は北朝鮮から見たときは、韓国などに比べると高くはないでしょう。
ただ北朝鮮を攻撃可能な基地が存在するということで、実際に戦争状態になった場合は、日本に存在する基地攻撃をやはり考えることかと思います。

この北朝鮮は20世紀のもっとも強力な覇権国家アメリカ合衆国に対して、最も対抗する大国ソヴィエト連邦との対立によって産み落とされた国家であり、現在はソ連の崩壊とともに孤立化した状態にあります。
この問題の深層はパワーを喪失しつつある覇権国アメリカと、次世代の覇権を取ろうとする中国との力の綱引き上で起きているトラブルなのだろうと思います。

いま日本方面にミサイル実験をどんどんやっているので、いかにも日本が攻撃されているような錯覚を覚えてしまいますが、北朝鮮がミサイル実験をするためには日本方面に行うしかありません(公海がそっちにしかないから)

ミサイルの軌道を地図上でみると北朝鮮は実験を行う上で最大限被害が出ないように配慮しているようにみえます。


◆日本が選択できるオプションは限られている。

このミサイル問題に関しては、日本のできることは正直限られます。

・外交努力
そもそも当事国の度合いが低い日本では、あまり北朝鮮に安全保障を担保するためのキラーカードを持ち合わせていないように思います。
これを主張するコメンテーターは、北朝鮮に対して何を与えて交渉するつもりなんでしょうか。
そもそも攻撃能力を持ち合わせてないわけで、攻撃しないよと保障することもできません。
拉致問題などもあって、ミサイル以外の別の問題解決の突き上げもありますし外交でミサイルや核開発問題を解決するのは困難だと思います。

・敵基地への先制攻撃
このオプションは平和憲法を順守する以上、事実上不可能。
また敵基地攻撃能力は自衛隊の現在の配備ではきついと思われる。(しらんけど、論理的に考えるとそんな能力は今の枠組みでは備えていないでしょう)

・ミサイル迎撃能力の向上
結局これが一番いまのところ現実的ということで、PAC3イージス艦が今後増設されるらしい。
100%撃ち落とすことは、大量に撃ってきた場合は難しいかもしれないけど、まあ妥当な対策かなと思います。

 

◆今後の展望について

基本北朝鮮を攻撃するというオプションは、米中露3国が戦後のことも合わせて合意してからはじめて行われるのではないかなと。米中の閣僚会談がすすんでいるようですし。難民や損害を考えるとやるかどうか知りませんが(というかやりたくないでしょうね)。

安倍首相は今回の北朝鮮のミサイル問題は、衆議院選挙の争点にしているみたいだけど、実際の危機とはそれほど感じていないのではないかなという気がします。むしろ政権にとっては追い風でしょうか?(だからこそ選挙をする)

国際協調や日米同盟の関係から表面上は北朝鮮に圧力をかけながらも、水面下では平和交渉のチャネルを開き続けて、ミサイルの標的にならないよう頑張っていただきたいものです。